2008年度(社)日立青年会議所

2008年度 基本資料

理事長所信

2008年度(社)日立青年会議所
第42代理事長 江幡 和典

 私は1998年に(社)日立青年会議所に入会しました。バブル経済が崩壊し平成不況と呼ばれる「失われた10年」の後期です。それから今年で10年目を迎えます。その間、社会は大きく変化しました。便利になった反面、多くの問題も抱えています。例えば、IT技術の促進による情報と経済のグローバル化が進む一方で、株価操作や粉飾決算が行われ、社会の高齢化と少子化の到来する中、年金問題に揺れる高齢者の方々や、ニートなど働く事に価値を見いだせない人達が増加しています。また食糧自給率が低い日本は、エコ燃料の増加や他国の内需拡大、地球温暖化による異常気象などにより、深刻な食糧問題に陥るのではないかと危惧されています。
 どうしてこのような状況になったのでしょう。目まぐるしい変化の中、人にとって、地域社会にとって、国にとって、本当に大切なものは何かを見失ってしまったからではないでしょうか。
 こんな時代だからこそ、私たち(社)日立青年会議所は自分たちの特質を再認識し、最大限に活用しながら行動を起こして行きましょう。人と地域社会を豊かにするものは本当は何なのかを真剣に考え、変化に耐えられる柔軟で自立した人づくり・まちづくりを行っていきましょう。そして自立した人たちを結び合わせ、大きな力を作り上げましょう。

●青年会議所は多くの可能性を秘めている
 青年会議所は「奉仕・修練・友情」の三信条のもと、様々な事業を展開してまいりました。この「奉仕・修練・友情」は実生活・実社会においても、人生を豊かにする大きな要素です。
 日々、青年会議所のメンバーは、青年経済人として、それぞれの仕事に従事しています。その仕事は、すべて社会貢献であり、その活動をより良いものにする為に、修練を積み友情を築いていることでしょう。
 青年会議所運動も同じですが、仕事とは違う大きな利点があります。それは、自分の仕事の制約を受けずに、想像力と主体性を持ち合わせれば、幅広い活動が出来るということ、多業種のメンバーにより構成されているが故に、幅広い知識とネットワークが内在しているということ、そして全ての事業から多くを学べるという事です。
 例えば一般的に考えて、自分の会社の経費を「かみね動物園」の活性化に使うのは甚だ困難です。仕事を離れた視点で社会を見る経験もなかなか出来ません。しかし青年会議所では可能なのです。仕事とは違う次元で活動が出来、事業を作り上げる過程において、自分とは違う観点を持った人と出会うことが出来ます。
 もちろん、これまで実施してきた事業の中には上手く効果が現れなかったものもありますが、青年会議所はそこからでさえも、多くの事を学ぶ事が出来るのです。「英知と勇気と情熱」を持っていれば、失敗を恐れず様々な事業を展開出来る、そんな団体なのです。そして行動を起こした人にこそ味わえる感動と喜びが、そこには確実に存在するのです。
 当然、活動するには時間と労力が必要です。かつて本田技研の創業者・本田宗一郎氏は、費用のかかるレースを「走る実験室」と表現し、そこから得たものを市販車にフィードバックさせていました。レースには悔しさも感動もあることでしょう。次世代を担う私たちにとっても、青年会議所はそんな実験室と同じような側面と機能を有していると言えるのではないでしょうか。
 このような特質があるから目まぐるしく社会が変化する中でも、時に時代を先取りしながら、(社)日立青年会議所は40年以上も活動を積み重ねて来る事が出来たのだと思います。そして事業を通して多くのフィードバックを自分たちのものにして来た経験があるからこそ、先輩たちは青年会議所を愛されているのだと感じます。これは他の団体ではなかなか見られない素晴らしい特質です。

●味わい楽しもう
 「奉仕し、貢献し、学び、成長する」。メンバーである私たちは、その特質をもっと自覚し、もっと味わい楽しんで活動していきましょう。この青年会議所運動の特質と意義を自覚し、事業を行うのは他の誰でもない私たちです。青年会議所をより良く機能させる為に必要なのは唯一、メンバーの主体的で積極的な参加です。
 現在多くのメンバーが在籍しています。その置かれた環境は様々だと思いますが、メンバーとしての責任と意気込みを持ち、事業に参加してください。参加しなければ、出会いもありませんし、メンバー間の信頼関係・協力関係が築けません。信頼関係がなければ、小さなことを伝える際にも、大きな作業が必要になってしまいます。逆に信頼関係・協力関係がしっかりしたものであれば、多くの時間を費やす事なく、活動も楽しく活気あふれるものとなるのです。
 そしてメンバーが団結し、和を持って事業に関われば、ますます青年会議所運動は人生を豊かにする場として機能するのです。青年会議所が魅力を増すのも元気になるのも、メンバーが主体的に参加することで、簡単に実現出来るのです。その可能性を信じて共に活動し青年会議所運動を味わいましょう。

●目的・対象を明確にとらえ波及させよう
 青年会議所は「まちづくり」を行う団体か「ひとづくり」を行う団体かと問われる事がありますが、言うまでもなくその両方です。「まちづくり」は青年会議所運動にとって大きな目的であり、「ひとづくり」はその目的達成の為の能力づくりです。
 2008年度もこれまで同様、愛する地域のため、その未来を想像し、次世代を担う若者としての責務を自覚し、事業を展開してまいります。指導力・人間力を身につける場、最先端の情報を得られる場としてひとづくり事業を行い、まちの未来を担う人達への理解を深めながら、行政や市民と共に日立文化の促進と創造を目的に、まちづくり事業を行っていきたいと思います。
 その際、伝えたい事・伝えたい対象を明確にし、参加者に起こして欲しい行動、味わって欲しい体験を具体的に考えて行きましょう。それらが明確であれば、手段としての事業の形も見えてくる筈です。伝えたい事が明確であっても、伝えたい対象が不明確では伝わりませんし、起こして欲しい行動、味わって欲しい体験が明確でなければ、波及しないと思うからです。波及しなければ変化は起こりません。逆にどんなに小さな対象でも波及させる事が出来れば、それは大きな波紋となって新しい変化や成長を生む可能性が十二分にあります。
 市民といっても様々な人々で構成され、社会と言っても様々な分野が合わさり成り立っています。ですから伝えたい対象を明確にして事業を行って行きましょう。

●まずは私たちメンバーに伝え、私たちが模範となろう
 その第一歩として、最初にメンバーに波及させて行きましょう。その事業がまちづくりに関わる事業でも、ひとづくりに関わる事業でも、まずメンバーに伝えることからはじめましょう。メンバーに伝わるものが無ければ、決して外部に伝わる筈がありません。内部の意識が変わり行動が変わる事が、まず大切だと思います。意識が変わり行動が変われば、必ずや大きな運動展開に発展していくことでしょう。もし、メンバーにとって感じるものがない事業が続いたならば、青年会議所そのものの維持が危うくなる可能性もあります。
 ですからまず私たちメンバーが互いに伝え合うことから始めましょう。そして感じたもの学んだものを蓄積し、実践して行きましょう。行動せず批判するだけの人は沢山いますが、私たちは主体的に行動し模範になれるよう共に成長しましょう。そうすれば、自分の仕事も生活もそして社会も少しずつ変化し、豊かなものになる筈です。

●最後に
 私たちメンバーはとても恵まれています。なぜなら(社)日立青年会議所の41年もの歴史の上に立っているからです。それは青年会議所の特質の一つであるネットワークが、地元に同じ志をもって既に存在することを意味しています。この事はとても心強い事です。
 一方で、その歴史を意識し過ぎるあまり、「青年会議所はこうあるべきだ」という固定観念にとらわれてしまう事もしばしばあるのではないでしょうか。でも固定観念にとわれる事は誰も望んでいないのです。
 公益法人法改革や会員減少など、環境は刻々と変化しています。それらに柔軟にそして積極的に対応するためにも、青年会議所の意義と可能性を再認識しなければなりません。
 その為にも自由で青年らしく、若々しい発想のもと、失敗を恐れる事無く「英知と勇気と情熱」をもって行動して参りましょう。なぜなら、そうすることが私たちメンバーの務めであり、歴史と伝統を受け継ぐ事にも繋がっていくからです。

 

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